世界有数の大都市である東京は、資源やエネルギーの大消費地であり、消費されるエネルギーの大半は、石炭や石油など化石燃料に由来するものです。大消費地として、ゼロエミッション東京を実現するためには、エネルギー自体を化石燃料を使わないものにかえていくことが必要です。ここでは、地球温暖化の影響や東京の現状について学んだ上で、わたしたちに何ができるのか、考えてみましょう。
地球の表面にはもともと窒素や酸素、CO2などの大気がとり巻いています。温室効果ガスと呼ばれるこうした大気は、太陽から受けた熱を大気外に放出し、地表からの熱を吸収しそれを再び地表に放射するなどして、地球の平均気温を一定に保つ大きな役割を果たしています。しかし、産業革命以降、人類が石炭や石油など化石燃料を大量に燃やしCO2排出量が増えた結果、余分な熱が宇宙に放出されず、こもった状態になっているのです。
地球温暖化の主な原因が人間の活動に起因していることは、
地球全体の温暖化により地球の気象が変化します。温暖化は、極端な熱波や洪水などの異常気象の頻発や、干ばつ等による食料生産の困難、飲料水の枯渇や、海面上昇による居住地の喪失などを引き起こします。
地球の平均気温は
こうしたなか、世界では、産業革命以降の地球の平均気温の上昇を2℃未満、できれば1.5℃未満とすることが共通目標となっています。2℃や1.5℃は小さい数字にみえるかもしれません。ですが、地球の平均気温が1.5℃上昇すると、日本のような中緯度帯では気温が3度上昇します。すでに「これまで経験したことのない暑さや大雨」などの極端な気候の変化が生じ始めているなか、極端な酷暑日が更に増加することが予測されています。
2℃
世界各国のCO2排出量を比較すると、第一位は中国、第二位はアメリカです。日本は、インド、ロシアに次いで、世界で5番目に多い国です。東京のCO2排出量は日本全体の約5%ですが、ギリシャなどの国とほぼ同様の大きさであり、決して小さくありません。産業革命以降の気温上昇を1.5℃に抑えるためには、2030年には全世界の温室効果ガスの排出を半減させ、2050年には実質ゼロにすることが必要とされています。
世界では、全世界のCO2排出量の約7割を占める都市の取組と役割が注目されています。東京も、資源やエネルギーを大量に消費する世界有数の大都市として、「ゼロエミッション(CO2排出実質ゼロ)」の都市へ転換していく取組を、私たち一人ひとりが実践していくことが必要と考えています。
東京都のエネルギー消費量は、近年減ってきていますが、工場や自動車、ビルに比べて、家庭はあまり減っていません。家庭のエネルギー消費量 は、都内の約35.0%で、そのほとんどが電力とガスの使用からきています。家庭で一番多くのエネルギーを使っているのは「 給湯」です。ちょっとした手洗いやうがいはお湯ではなく水を使用する。シャワーの出しっぱなしに注意する。そういったこまめな省エネの意識が大切です。
私たちの生活から排出されるCO2を減らすためには、電気やガスなど消費するエネルギーをできる限り最小化するとともに、太陽光など自然の電気等の利用を進めていくことが重要です。
もう一度、家で実践できる省エネ対策などを見直してみましょう。そして、長続きできる省エネ対策を習慣づけましょう。
節電は、CO2の排出を減らすだけでなく、電気代をおさえることもできるので、みんなのおサイフにも優しい、賢い取組です!
- 冷蔵庫の温度設定は、冬は「弱」、夏は「中」に設定しよう。
- エアコンは、室温が夏は「28℃」、冬は「20℃」になるようにしよう。でも、
無理 な我慢 はしないでね。
※扇風機を使って、部屋の空気を循環させることも効果的です。 - LED
照明 を使おう。 - 暑い日、寒い日には、エアコン使用の無理な我慢はしないようにしよう。
- 使用していないときは、エアコンやテレビ、照明など家電製品はつけっぱなしにしないようにしよう。
-
電力 需給 が厳 しくなるおそれがあるときは、 消費電力の大きな電気製品の使用をひかえるか、使用する時間 帯 をずらそう。 - 家電を購入するときは、省エネ性能の高いものを選ぼう。
※もっと知りたい方はこちら
家庭の省エネ対策のためのリーフレット等のご案内
太陽光発電は、石油や石炭などの化石燃料を燃やさずに、自然から得られるエネルギーを使って自宅で発電し、自宅で使うことができるエネルギーです。太陽光発電は、停電時にも、自立運転機能を利用することで、電気を使うことができます。さらに、太陽光パネルに加えて、蓄電池も設置すれば、停電時だけではなく、夜間でも太陽光発電を利用でき、自然の電気で自給自足することも夢ではなくなります。東京都では、あなたの建物(住宅)が、太陽光発電等の利用に適しているかが一目でわかるマップ(東京ソーラー屋根台帳)を公表しています。ぜひ、一度、ご覧になってみてください。
また、家庭で太陽光パネルを設置できなくても、電力の契約を見直すことで自然の電気を利用することができます。東京都では、都内に供給されている電気の環境性能を公表しています(私たちが使う電気の環境性)。現在契約している電気にどのくらいの自然エネルギーが含まれているか、ぜひ一度、調べてみてください。
都内CO2排出量の約2割は、自動車・鉄道・船舶・航空といった運輸部門が占めており、運輸部門の中でも約8割は自動車から出ています。運輸部門からのCO2排出を減らすためには、自動車の代わりに自転車を利用したり、公共交通機関を利用するとともに、利用する車そのものをZEV(ゼロエミッションビークル)にかえていくことも重要です。
ZEVとは、走行時にCO2等の排出ガスを出さない電気自動車(EV)・プラグインハイブリッド自動車(PHV)・燃料電池自動車(FCV)のこと。温暖化対策になるだけでなく、蓄電池や燃料電池を搭載したZEVは、災害時の非常用電源として家庭への電力供給も可能です。お家の車を買い替える時は、ZEVを選ぶようにしましょう。
わたしたちが普段使っているプラスチックも、製造時や焼却時に大量のCO2を出しています(詳しくはこちら)。食品ロスの発生による気候変動への影響も大きく、見過ごすことはできません(詳しくはこちら)。日々の生活の中で、使い捨てプラスチックの使用を控えたり、「もったいない」という意識を持って賞味期限間近の商品を買うなど、食品ロスを減らすために取り組んでいくことが重要です。
外から室内に入ってくる「熱」の7割以上は「窓」から入ってきます。夏は、カーテンやすだれで直接家の中に入ってくる日差しをさえぎれば、部屋の温度上昇を抑えることができます。出かける前にカーテンを閉めておくと、室温をあげないようにすることができます。ヘチマやゴーヤ、朝顔など、つる性の植物をベランダや庭で育てて「緑のカーテン」をつくると、夏の日差しをさえぎるとともに夏の涼を楽しむこともできます。暑さに対して、身近にできる適応策の一つにもなります。
また、冬も、カーテンを閉めることで、窓から冷たい空気が入ってくるのを防ぐとともに、「暖かい熱」が逃げないようにすることができます。
適応策って何?
地球温暖化の要因である温室効果ガスの排出を削減する対策のことを「緩和策」といいますが、気候変動の影響による被害を受けないようにしたり、小さくするための対策を「適応策」といいます。例えば、お米であれば高温に強い品種に変えたり、リンゴやトマトであれば日除けで強い日差しから守ることなどがあげられます。もはや緩和策だけでは気候変動の及ぼす影響を防ぐことができないと言われており、緩和策とあわせて適応策も進めていく必要があります。
出典:「気候変動適応情報プラットフォームポータルサイト」