わたしたちの暮らしは、自然がもたらす様々なめぐみに支えられて成り立っています。しかし、そんな自然のバランスが、わたしたち人間の活動によって崩れつつあります。都市化や、資源利用の増加、地球温暖化などが大きな要因です。このままだと、わたしたちは自然のめぐみを受けられなくなってしまうかもしれません。ここでは、自然の大切さや現状について学んだ上で、わたしたちに何ができるのか、考えてみましょう。
地球上には、約3,000万種の生物が存在するといわれています。それらの生物が、豊かな自然環境のもと、どこかでかかわり合い絶妙なバランスを保っているのが生物多様性です。
生物多様性には、①生態系の生物多様性②種の多様性③遺伝子の多様性の3つがあります。
- ①生態系の多様性
-
生きもののすみかとなる森や里山、川、湿地、干潟、サンゴ礁などいろいろなタイプの自然があることをいいます。
- ②種の多様性
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動物や植物から細菌などの微生物にいたるまで、いろいろな生きものがいることをいいます。
- ③遺伝子の多様性
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同じ種類の生きものでも異なる遺伝子を持っていることで、それぞれの個体の形や模様などに多様な個性があることをいいます。
私たちの身の回りを振り返ってみましょう。
私たちが食べる肉や魚、野菜などは生きものが原料です。私たちが使うノートや鉛筆も木から作られています。
森林が土砂災害を防ぐこともあります。日本や世界各地の文化もその土地の自然に応じて発展してきました。
私たちの暮らしは、生物多様性のめぐみによって支えられて成り立っています。
しかし、私たち人間の活動によって生物多様性のバランスが崩れつつあります。
過去100年における生物の絶滅のスピードは、それまでの1,000倍以上になるといわれています。世界では、年間約4万種の生物が絶滅し、日本でも、約3,700種もの生物が絶滅の
危機にひんしています。
私たちが自然環境を守らずこのまま放っておくと、生物多様性のめぐみを受けられなくなってしまうのです。
地球温暖化による影響も受けています
気温が2℃上昇した場合、サンゴ礁は99%死滅するともいわれています。”海の熱帯雨林”といわれるサンゴ礁が将来見られなくなるかもしれません。
プラスチックごみの影響も受けています
世界中で多量のプラスチックごみが海へ流れ込んでおり、2050年には海の中のプラスチックが魚の量を上回ると言われています。生きものがえさと間違えて食べてしまうなど、海の生態系への影響が心配されています。
保全地域
東京では残された貴重な自然を保全地域として守っています。
- ①自然環境保全地域
- 天然の森林があったり、貴重な生きものが住んでいる場所
- ②森林環境保全地域
- 私たちの暮らしを支える水をはぐくんだり、様々な生きものが暮らす植林された森がある場所
- ③里山保全地域
- 雑木林や田畑、わき水などとともに様々な生きものが住んでいる場所
- ④歴史環境保全地域
- 歴史的な遺産と自然が一体となって守られている場所
- ⑤緑地保全地域
- 街に近い林や水辺として守られている場所
自然公園
自然公園は、優れた美しい自然を保護していくともに、その中で自然に親しむことができる地域です。
都内には10か所の自然公園があります。
東京は世界有数の大都市です。全面積の約半分が商業地や住宅地などの市街地となっています。自然豊かな地域も残っていますが、 昔に比べると東京の緑は減ってきています。多摩の森林も、林業の低迷などにより手入れが行き届かなくなったり、放置されたりして、荒廃が進んでいます。
外来種とは、もともとその地域にいなかったのに、人間の活動にともなって他の地域から入ってきた生きもののことを指します。外来種にはもともとその土地に生息していた在来種のすみかを脅かすものや、農林水産業に被害を与えるもの、人に危害を加える危険なものもいます。
東京の外来種についてもっと詳しく知りたい人は次のサイトを見てみよう!
保全地域や自然公園は、自然を感じる場や環境学習の場として利用することができます。
自然の中でボランティアに参加してみたい人は「里山へGO!」にアクセスしてみよう! 東京の自然を守るボランティアにみなさんも参加できます。「東京にもこんな自然があったんだ!」という発見があるかもしれません。
ペットを飼うときは、飼いきれなくなって屋外に捨てたり、逃げ出したりしないよう気をつける必要があります。
たとえば、アカミミガメ(ミドリガメ)は縁日などで見かける可愛らしいカメですが、もともと日本にはいなかったカメです。 池や川に捨てられたアカミミガメが在来種の魚をエサとして食べてしまったり、在来種のカメがすみかを奪われて絶滅の
危機に直面するなど、生態系に被害を
与えています。
ペットを飼うときは、成長したときの体の大きさや子供が生まれたときのことを考えましょう。そして、何よりペットは最後まで責任をもって飼うことが大切です。
保全
東京の
植物(藻類含む) | 動物 | |
---|---|---|
本土部 (2020年版) |
972種 | 873種 |
島しょ部 (2011年版) |
517種 | 725種 |
例 | ミズニラ ムニンツツジ など |
トウキョウサンショウウオ オガサワラオオコウモリ など |
- キンラン
- カタクリ
- トウキョウサンショウウオ